出産レポ④
6月4日金曜日
入院三日目。
この日は朝から、予定通り陣痛促進剤。
昨日は一日中有線のモニターに繋がれており、寝たきりだったけれど、今日は無線のモニターを付けて、スクワットや運動なども同時にやりましょうとの事。
今日はほぼ助産師さん付きっきりで相手してくれました。
まずはフットバスでじっくり足を温めて、助産師さんが陣痛促進のツボをマッサージしてくれる。その後、昇降段を上り下りしたり、スクワットしたり、股関節の体操したり、ゆらゆらできる椅子に座ってみたり。
若い助産師さんなんだけど、色んなお話しながらずっと一緒にやってくれてさ。
「私もこれやった次の日は足パンパンなんです」
とか言ってて、可愛い人だったな。
あ、ちなみに昨日の助産師さんは、完全に佐藤栞ちゃん似でその人もめちゃくちゃ可愛かった。
↑余談。
そして本題は陣痛の効き具合進み具合なわけですが、最初の朝の話だと、助産師さん曰く、昨日の薬と違い、午前中には効き始めると思うよとの事。昨日の痛みを超えた時点で教えてねって言われてたんだけど・・・。
昼、美味しく食べ・・・。
じゃなくて・・・。
陣痛があまり来ていない。
と言うか、今思い出せないぐらいだから、あまりというより陣痛は来ていない。
微弱陣痛?なんとなく痛い程度だったかな。
普通の生理痛ぐらい。
本当はもっと痛いのに私の感覚がばかなのかな?と思ったぐらい。
モニターでは良い張りは来ているらしい。
そんなこんなで、午後になると流石に私も焦り始めた。10ずつ目盛りを上げていく点滴。MAXは確か120でおわり。目で見ても、点滴の量はもう半分も無い。
『陣痛促進剤使ってすぐ2時間でお産でした』
なんてネットに書いてあったので、
そんなもんかなと思っていたけど。
いや、そうなるといいかなと思っていただけで、本当は途中で分かっていた。
まだ、全然赤ちゃんが降りてきていないことを。
自分でもまだまだ時間はかかりそうだとどこかでなんとなく知っていたかもしれません。
そんなこんなでMAX量までついに上がってしまいました。結構お腹は痛かったです。
モニターで見ても、定期的ないい感じの張りもあり、このまま続けたい気持ちもありました。
この点滴が終わっても、もう少し続けるか。
明日は土日なので治療はお休みだから月曜日に持ち越すかも?なんて助産師さんは言う。
そ、そんな・・・
あとは、先生方の判断ですと。
結局点滴は終わり、先生方が来て内診。
うん、まぁ少しは進んでる(子宮口開きも)が、これだとまだ時間はかかる。
このまま促進剤続けても、一晩中痛いのが続くだけでしんどいから今日は終わりにしましょうと。
その代わり、明日土曜日ですが、いいとこまで来たので朝からすぐまた始めましょうと。
え!?明日いいんですか?
そして、点滴は終了。
そして夜ご飯食べて。
促進剤しながら乳首マッサージすると陣痛が進むと聞いてチマチマやってみたり。
ペットボトルにお湯を入れて、湯たんぽ代わりにしてお腹やお股を温めたり。
せっかく来ていた陣痛がおさまるのがもったいなくて色々やっていたんです。
でも少し痛みが遠のいた気がしました。
その時、
パツン!
なんか突然お腹を蹴られたような感覚がして。
胎動かな?なんて思ってました。
今までこんな胎動はなかったのに。
その後、チョロチョロと何かが漏れる。
え!?破水だ!!!多分!!!
おしっこ行きたいななんてちょっと思ってたけど、漏らすほどじゃない!!!
すぐ、ナースコール。
助産師さんが破水かも!との事ですぐに検査。
破水確定。
ただしパシャーとは出ていないので量は少ない。
もしかしたらこのままお産が進むかも!?
そこで、今日の日勤の助産師さん退勤の時間で「あの私、これで今日もう退勤になっちゃうんですけど、このまま進むといいですね」
って言ってくれて。
嬉しかったです。
それが夕食後の出来事。
夜の先生の内診の時も破水のことを踏まえつつ、少しずつ進んできていると。
ここで思うけど、促進剤使っても、みんなかんな絶対すぐに効果があるわけではないです。
破水も、偶然なのか、促進剤の効果なのか、乳首マッサージの効果なのか、分かりません。
そして、21〜22時頃、痛みはまだあったけれど、眠りました。
22〜23時。
い、痛い・・・。
目が覚めます。
明らかに痛いのです。
そこから、10〜15分間隔で、眠れないぐらいには痛い。
寝転んでいると痛みが強いと思って、
途中から座って耐えたり、椅子に座ってみたり、色々試す。
体を、というか子宮のあたりが伸びる様な体勢が意外とマシかな?なんて思いながら。
夜中、またモニターをしてもらい、痛みの加減を告げる。
破水したことで、自然に陣痛が来たようです。
しかもモニターを見ると、間隔はまだ空いているけど、結構一回の張りが強いですと。
今までモニター見ていたけど、明らかにグラフの波がデカイです。
夜中3時頃またモニターを見に助産師さんが来て「これは眠れない痛みですね」と。
そして、明け方4時頃。
痛みが更に増す。
間隔は10分以内に少し縮まった気がする。
ただ、もう顔が歪み、息がうまくできないぐらいに痛くなっている。
陣痛が来たら、じっとしていられない。
体を起こして座ってみても痛い。
陣痛の逃し方!なんて動画で見たから同じポーズやってみたけど、痛いもんは痛い。
とにかく1分ぐらいを我慢するしかない。
6時頃。痛くて痛くて、ナースコール押すかで迷う。
ただ、押したところで、まだ間隔はそんなに縮まっていないし、耐えるしかないと思い、朝のモニターに来るまで耐える。
6時半〜7時前。割と今日は早めに助産師さんが来てくれた。
「明らかに痛いです」
すぐに告げ、モニター開始。
本格的に始まったようです。
痛くてそのうち呼吸もうまくいかず、グググッと息を止めるように耐えてしまう。
でも、これが本当にいけなかった。
「ちょっと、四つん這いになって!!!」
いきなり助産師さんが大きな声で慌てた。
「赤ちゃんの心拍がさがってます!赤ちゃん今しんどそうです」
四つん這いにさせた私に酸素マスクを付け
「心拍さがってます!すぐに来てください!」
何度も何度も誰かを呼んでいる。
この時の私は、頭真っ白でした。
今の今までそんなこと一回もなかった。
モニターでも「赤ちゃんは元気だね」って毎日言っていた。さっきまで言っていた。
助産師さんの慌てた声。
モニターから聞こえる心拍は確かに、遅い。
怖い。
お願い!助けて!
そう思って何かに祈って、四つん這いになりながら、涙が出そうになったけど、絶対に元気に産まれるまでは泣かないと思って我慢した。
「深呼吸して!!!」
ああ、痛みに耐えるために、その度に、呼吸を止めていたかもしれない。ナースコール押すか迷ってた明け方からそんな耐え方してから、ずっと苦しかったのかもしれない。
痛みの波はやってくる。
とにかく深呼吸する。
仰向けにされた時、大勢の助産師さんと先生方がぐるりと私を囲んでいた。
バタバタと皆が動いていた。
驚いた。
「お産はこれがあるからね。でも赤ちゃん心拍戻ったから大丈夫よ。元気よ」
ドクドクドクドク。妊娠してから何度も聞いた赤ちゃんの少し早い心拍の音が聞こえる。
この音に私は何度も救われた。
何度も泣きそうになるぐらい感動した。
初めて心臓の音を聞いた時。まだエコーで見たら、ちっさなちっさな胎児なのに心臓の音がした。辛い不妊期間、不妊治療、また別の記事に書けたら書きますが、妊娠してからもトラブルがあって、妊娠自体続けられるのか不安だったけれど、
この音に何度も何度も救われてきたのです。
この子がお腹にきてくれたから私は救われた。
この子を絶対に守るぞ。
ずっとそう思って今日まできたのに。
心拍を持ち返した赤ちゃん。
陣痛の波が来ても、とにかく深呼吸深呼吸。
赤ちゃんに酸素をたくさん送る。
それだけを頭で念じていた。
先生が来て「今は心拍も落ち着きました。まだ帝王切開と決めたわけではないですし、自然分娩の方向で考えてますからね。ただ、これが次にまた起こるようなら帝王切開もあり得ます。どっちに転んでも大丈夫なように両方で準備しますからね」と。
帝王切開の書類なんかを見せられるけれど、陣痛の痛みであまり頭に入ってこない。
旦那さん呼びましょうか・・・
なんて話を先生と助産師さんがしている。
そんなこんなで、陣痛の痛みは更に増していきます。
ここからは本当に助産師さん付きっきりでした。
陣痛は1分〜1分半でおさまるもんですが、あれ?ちょっと長いな、と思った時。
「あ、まただ!四つん這いになって!!!」
また赤ちゃんの心拍が下がる。
また大勢の先生と助産師さんが一気に私のベッド周りで動いている。
帝王切開の準備をしている。
早口で私に説明して、同意書に名前を書かせる。
手術となるとPCR検査を再度するとのことで検査。手術のための、レントゲン。覚えてないぐらい色々と準備されていく。
尿道に管を挿入。痛かった。
すぐに旦那へ先生が電話。
「30分!?そんなにかかりますか?すぐ来てください」
旦那はすぐに来た。
赤ちゃんの心拍はすぐにまた持ち返した。
「赤ちゃん大丈夫だからね」
とりあえず良かった。
今すぐ帝王切開というわけでは無い。
ただいつでもすぐに帝王切開できる準備はしている、とのこと。
先生方も相談してギリギリまで迷ってくれている。
他のチームの先生も来てくれた。
また心拍を持ち返す赤ちゃん。
「帝王切開してもいいけど、この子持ち返すんだよね」
先生が言う。
少し場は落ち着いたところで、一切面会立ち会い禁止だった旦那が先生が許可してくれて、面会できることに。
しばらく一緒に陣痛に耐えてくれました。
ここの時点で、陣痛促進剤は危険なので一旦止めていました。
が、赤ちゃんが持ち返したのもあり、
最後の自然分娩のカケにでることに。
人工破水して、促進剤続けることに。
人工破水することにより、一気にお産が進むことがあるので、それにかけます、と。
でも心拍が下がることもあります、その時はすぐに帝王切開に移りますと。
何かあったら15分とかですぐ取り出すからね、と。
その為に旦那さんに帝王切開の同意書を書いてもらい、人工破水して、また促進剤スタート。
しかし、3度目。
また少し微妙に心拍がさがった。
「うーん、やっぱりこれはさがってますよね」
先生方が相談している。
「赤ちゃん、やっぱりしんどそうなので、もう帝王切開で出してあげましょうか」
「はい、お願いします」
「分かりました。(自然分娩だと)まだ時間がかかりそうですし、その方がいいですね。大丈夫ですよ。よくここまで頑張りましたよ」
先生が言ってくれたその一言が、忘れられないぐらい印象に残っています。
自然分娩させてあげたかったんでしょう。
でも、救われた。
私は内心ホッとしていた。
何故なら痛みはもうMAXだったから。
間隔も明らかに5分ぐらい。5分以内か?
子宮も7〜8センチまできてました。
(↑先生がそう言ってた気がするだけで覚えていない)
そこからはストレッチャーに乗せられて手術室へ。いつの間にやら、手術着に着替えさせられていた。
運ばれていく間も陣痛がくる。
そうと決まれば早く麻酔を打ってほしい。
それなのに大学病院は広い。
運んでいる間もうめき声を漏らす。
ずっと助産師さんが腰をさすってくれている。
早く麻酔打って!!!
手術室へ到着。
入る前に、麻酔科とか色んな先生が挨拶してくれる。痛い。早くして!!!(笑)
麻酔の説明を受けて全部食い気味で頷く。
次の波が来るまでに早くして〜!!!
でもまた来る波。
看護師さんの紹介。なぜかアイメイクがバッチリギラギラで産後も何故かそれだけをよく覚えている(笑)
そのアイメイクギラギラがぼやけていくように陣痛がまた始まる。
最後旦那と手を握って、手術室の中へ。
やっと麻酔・・・
背中を丸めて、表面の細い麻酔をまず打つ。
行きますよーって時にまた陣痛。
陣痛と同時に針が背中に。
針が痛いのではなく(ビクッとなるぐらい少しは痛い)陣痛が痛いのに、抑えてくれる看護師さんが、ごめんごめん、今が一番痛いとこだよねー!って麻酔の事言ってるから、陣痛が来たんです〜!と謎の弁解。
ダブルで痛いね〜!って、理解早い。
そして、もう一本の下半身麻酔を打って、台へ移る。
麻酔が効くのは早かった。
やっと、陣痛はおさまった。
そして何より、やっと、赤ちゃんを助けられる。
ちなみに帝王切開に決まった時も、ストレッチャーで運ばれてる時も、ずっと赤ちゃんの心拍は持ち返して元気でした。
そして15分もたたんうちに、赤ちゃんが産まれました。
事前に、帝王切開の場合は、羊水に包まれてたりで、処置終わるですぐには泣かないけど大丈夫だからねと言われてました。
「おめでとうございます」
たくさんの声がして安心する。
するとすぐ、オギャーオギャーと産声が聞こえる。
声の方に目をやると元気に泣いている赤ちゃん。
その瞬間にたくさん涙が溢れた。
良かった。良かった。
色んなことを思い出した。
でも良かった。
泣いてる私の元に赤ちゃんが来た。
元気な元気な男の子。
両手を装置に繋がれているので抱っこは出来ないけど、ナデナデ。
片目をパチッと開けた赤ちゃんと目が合った。
たくさん泣きました。
良かったね、良かったね。助産師さんも言っている。
その後手術も無事に終わり、
先生から「赤ちゃんの臍の緒がいつからか場所がちょっと悪くて、それで酸素や栄養が遮られてしんどくなっちゃったのかも。あと下向いてるんだけど頭が斜め上向いてて、これは粘らないで帝王切開にして良かったと思います」とのことでした。
無事に手術室から出て、旦那さんとも会った。
ストレッチャーの上で何を話したかあまり覚えてない。
けど「良かったねパパになれたね」
そう思っていたと思う。
そして、手術室から個室へと移りました。
しばらくして、赤ちゃんもお部屋にきて、抱っこできました。
温かくて、小さい。
小さいけれど、ずっしりとした重み。
癒し。
ありがとう。産まれてきてくれて。
早く降りてきてよ〜。
いつになったら産まれてくるの〜。
今日でもいいんだよ〜。
予定日過ぎてから、焦ってよく思っていた。
でも、結果的に赤ちゃんを焦らせてしまってこんなことになったのかな?なんて手足装置に繋がれた状態で思った。
ごめんね。
でも、何度も心拍を持ち直した赤ちゃん。
赤ちゃんのおかげだよ。
ママ頑張ったね。
助産師さんはたくさん言ってくれたけど、
この子がいなかったら、先生や助産師さんがいなかったら、旦那がいなかったら、
何も出来なかった。
赤ちゃん。
会いたかったよ。
ずっとずっと会いたかったよ。
不妊治療から、着床が分かった日。
その日からどうか元気に産まれてきますようにと毎日それだけを願っていました。
大学病院の沢山の先生方と助産師さんの万全の体制によって、無事だったこと。
そして何よりも赤ちゃんの生命力。
6月5日11時42分
無事に元気な男の子が産まれた瞬間でした。